【50代の旅】きゅんパスで三陸鉄道へ|JRバス「白樺号」で越える雪の高原。葛巻の飲むヨーグルトと久慈の時間

今回の旅の相棒は「きゅん♡パス」。

JR東日本の新幹線や在来線が乗り放題になる、

とてもお得なきっぷです。


普通なら

「盛岡から新幹線で八戸へ行き、JR八戸線で久慈へ向かう」

そんなルートを選ぶと思います。

このルートなら、追加料金はかかりません。

いわば「正解」と言われるルートです。


でも私たちが選んだのは、

盛岡から別料金3,000円を払って乗る「JRバス白樺号」でした。


新幹線と電車を乗り継ぐ効率よりも、

バスの車窓からしか見られない雪の高原を、ゆっくり越えてみたかったから。


「せっかくの乗り放題なのに、わざわざ別料金を払うなんて……」

出発前、心のどこかでそんな声も聞こえました。


でもその迷いは、

バスが走り出してすぐに消えることになります。

目次

白樺号を選んだ理由


金額だけで考えれば、

八戸経由が正解なのかもしれません。


きゅん♡パスを使えば追加料金は0円ですし、

時間的にも大きな差はありません。


でも私は、

「ただ移動するためだけに時間を使う旅」には

あまり魅力を感じなかったんです。


せっかくなら、

その移動時間そのものを旅の思い出にしたい。


八戸線を使って久慈へ向かうルートでも、

海沿いのきれいな景色を楽しむことができます。

それも、とても魅力的な旅だと思います。


でも今回選んだ白樺号ルートは、

それとはまったく違う景色でした。


雪の高原を越え、

白樺林の中を進んでいく山のルート。


雪に包まれた白樺林。バスは静かな山の中を進んでいきます

鉄道ではなかなか味わえない、

冬の山を越える旅がそこにはありました。

白樺号は予約なしで乗ることができ、

Suicaなどの交通系ICも使えるので、

思い立ったら気軽に利用できるのも魅力です。

白樺号で良かった3つの理由

① 盛岡で「福田パン」を買う時間が作れた

八戸経由だと、盛岡駅で降りる時間がありません。

大宮9時発の新幹線スケジュールでは、

「盛岡で福田パンを買う」という余裕は作れないんです。


でも、白樺号は盛岡10:15発。

そのおかげで、福田パンとお土産をゆっくり買う時間ができました。


旅の楽しみは、移動だけじゃない。

こういう寄り道の余白も、大事な思い出になります。

② 雪の白樺林を走る「山の絶景」

八戸線は海沿いの景色が魅力ですが、

白樺号のルートはまったく違います。


盛岡を出ると、どんどん標高が上がり、

車窓には真っ白な雪景色と白樺林。

「山はまだ冬なんだね」


そんな会話をしながら、

バスは静かな高原を走り抜けていきます。

この景色は、鉄道では絶対に見られません。

③ 最前列の特等席!雪道を進む迫力

電車の旅は横の景色が中心ですが、

バスの最前列は視界がまるごと前方。


雪道を切り拓くように進む白樺号は、

思わず「かっこいい」と声が出るほど。


約2時間半、

この景色を独占できたのは

立派な旅のアクティビティでした。


実は、新幹線と八戸線を乗り継いでも、同じ時間の三陸鉄道には乗れたみたい。

でも、後悔はこれっぽっちもありません。

あの真っ白な白樺林を駆け抜ける「白樺号」の景色は、

きっとこのルートを選んだからこそ出会えたものだから。


効率だけじゃない。

その時、その場所でしか見られない景色にお金を払う。

それもまた、大人の旅の楽しみ方だと思います。

私たちが乗った新幹線は、

大宮を7:21に出発する便でした。

朝は少し早いですが、

この時間に出発することで、

盛岡で福田パンを買う余裕も生まれます。


今回のルートはこちらです。

この距離を2時間45分かけて進みます。
盛岡から山を越えて、海へ向かうルートです。

出発:10:15 盛岡駅。運命の「最前列」確保

旅の始まりは、盛岡駅の1番バス乗り場から。

今回私たちが乗り込んだのは、時間ぴったりにやって来た

10時15分発の**「JRバス白樺号」**です。

長距離路線バスということもあり、

やってきたのは観光バスのような立派な車両でした。

駅の中にあるgozzoで買った

福田パンとコーヒーを携えて、

タラップを一段ずつ登ります。

そして私たちが選んだのは、

左側いちばん前の座席。

幸運にも空いていたその席に滑り込むと、

目の前には大きなフロントガラスがパノラマのように広がっていました。

この「特等席」を確保できただけで、

この旅はもう成功したような気分になります。

定刻、エンジンの低い振動とともに、バスはゆっくりと盛岡駅を離れていきました。

盛岡の市街地を抜けていく間、

窓の向こうには雪雲を低くまとった岩手山が姿を現します。

雲の切れ間から覗く雄大な山容を追いかける。

新幹線のスピードでは味わえない、

一歩一歩、景色を噛み締めるような感覚です。


バスの中を見渡すと、乗客は私たちを含めて8人ほど。

世間は「きゅん♡パス」のシーズン真っ只中。

「もし満席で座れなかったら……」という出発前の小さな不安は、

どこかへ吹き飛んでしまいました。


どうやら、このおトクな切符を使って

久慈までバスで抜けようという私達のような物好き(失礼!)は、

それほど多くないみたいです。


バスはゆっくりと、でも力強く街を離れていきます。

アスファルトの色が少しずつ白に変わり、

景色の中に雪の割合が増えていきました。

岩手町を抜けると、

バスはいよいよ葛巻町へ続く山道へ。

エンジン音が低く響き、

高度が上がっていくのを感じます。

ふと、

「あぁ、岩手はまだしっかり冬なんだな」と思いました。

実はこの頃、関東では最高気温25度を観測するような日もあり、

すっかり春の足音が聞こえていた時期。

それなのに、今目の前に広がっているのは

アスファルトを覆い隠すほどの真っ白な世界です。

季節を逆戻りしているような、

あるいは別の世界へ迷い込んでいくような。

そんな不思議な感覚になれるのも、

この路線の面白いところかもしれません。

バスはさらに標高を上げ、

いよいよ休憩ポイントの葛巻へと向かいます。

窓の外は、もうすっかり冬の装い。

これから始まる「雪の高原越え」への期待感で、胸が少しずつ高鳴ってきました。

旅の「句読点」:葛巻高原の8分間ミッション

11時15分。

バスは「道の駅 くずまき高原」に滑り込みました。

ここで、貴重なトイレ休憩です。

到着は11時15分。

そして出発は11時23分。

……なんと、休憩時間は たったの8分!

「急がなきゃ!」

少し早足でバスを降ります。


まずはトイレを済ませ、その足で売店へ。

ここに来たら、どうしても買おうと決めていたものがありました。

葛巻産の「瓶入り飲むヨーグルト」です。

葛巻町は「ミルクの町」として知られていて、

乳製品がとても有名なんだそうです。

急いでバスに戻り、席につきます。

ずっしりと重みのある瓶に、

今では珍しくなった紙のフタ。

指をかけてパカッと開けるあの感触が、

なんだか無性に懐かしくて。

思わず、にやけてしまいました。

一口飲むと、

冷たくて、濃厚で、少し甘酸っぱい。

わずか8分の慌ただしい滞在だったけれど、

あの冷たい瓶の感触とヨーグルトの味は、しっかり

「葛巻に来た」という記憶を刻んでくれました。

観光バスじゃない。これは「地元のバス」

葛巻を出たあとも、バスは淡々と進みます。

ふと気づいたのは、

このバスが思っていた以上に

**「地元の人の大切な交通手段」**だということ。

「体育館前」

「葛巻高校前」

そんな生活感のあるバス停で、

一人、また一人とお客さんが降りていきます。

観光客よりも、

このバスを日常の移動手段として使っている人の方が

多いようにも感じました。


そして気づけば、乗っている人は私たちを含めて

3人くらいになっていました。

華やかな観光路線というより、

雪深い町と町をつなぐ、実直な生活の足。

その飾らない雰囲気が、

この旅をより深いものにしてくれている気がしました。

【核心】真っ白な山の中を、ぐんぐん登る

その後、バスはいよいよ本格的な山越えに入ります。

道路も、周囲の山々も、

見渡す限り雪で真っ白。

そんな中を、

大きな車体を揺らしながら、白樺号は力強く登っていきます。

エンジン音を響かせながら、

雪の壁の間をぐんぐん進むその姿は、

なんだか……ものすごく、かっこいい。

最初は、

「バス代3,000円は、ちょっと高いかな?」

なんて思っていたんです。


でも、この最前列から眺める圧倒的な雪景色と、

冬の難所をものともしない頼もしい走り。


それを特等席で眺めているうちに、

「むしろ安いくらいだね」

と、いつの間にか評価が真逆になっていました。


目的地までは、あと少し。

窓の外には、名前の通り

真っ白な白樺の林が広がっていました。

やがて、バスはゆっくりと山を下り始めます。

白樺の林が少しずつ途切れ、

遠くに町の気配が見えてきました。

長い山越えを終えて、

白樺号は静かに久慈駅前へ到着しました。

盛岡を出てから、およそ2時間半。

雪の高原を越え、

白樺林を抜けて、

ようやく三陸の町にたどり着いた瞬間です。

バスを降りると、

空気の匂いが少し変わった気がしました。

さっきまでいた山の空気とは違う、

三陸の海の空気かもしれません。

ここから先は、


いよいよ三陸海岸を走る鉄道の旅。

 私たちは三陸鉄道のホームへ向かいました。

【出会い】久慈駅、ストーブの温もりと「駅の案内人」

久慈駅の待合室には、

ストーブが焚かれていて、

外の寒さを忘れさせてくれるような温もりが広がっていました。

そこで声をかけてくれたのが、

病院の帰りだという一人の地元のおじいちゃんでした。

正直、方言が強くて

話の内容はほとんど理解できなかったけれど(笑)

その柔らかな表情だけで、

歓迎されていることは十分に伝わってきます。


盛岡からの長いバス旅を終え、

三陸鉄道の発車までは1時間ほどありました。


せっかくなので、

駅の近くのななまるにカフェに入ってひと休み。

温かいコーヒーを飲みながら、

さっきまで走ってきた雪の山道の景色を思い返します。


もし八戸経由で慌ただしく乗り継いでいたら、

きっとこんな時間は持てなかったはず。

この「何もしない時間」も、

今回の旅の大事な思い出になりました。


出発の時間が近づき、

待合室へ戻ると、

そこにはまたあのおじいちゃんの姿がありました。


まるで駅の案内人のように、

そこに立っていてくれたのです。


ホームまで案内してくれながら、

「海が見えるのは左側だぞ」

と、身振り手振りで

大事なアドバイスをくれました。


それだけではありません。

階段を一段ずつ、

ゆっくりと登る腰の曲がったおばあちゃんを見つけると、

「頑張れー!」

と大きな声でエールを送り、

おばあちゃんが登りきると、

自分のことのように嬉しそうに、

「よく頑張ったなー!」

と声をかけている。

静かな久慈駅のホームにその声だけがやさしく響いていました。


その光景が、

あまりに自然で、あまりに素敵で。

言葉の意味はわからなくても、

おじいちゃんの周りには、

ストーブよりももっと温かい「心の温度」が流れていました。

左の窓の先へ——三陸鉄道、静かに発車

おじいちゃんに教わった通り、

私たちは一番乗りで

三陸鉄道の左側の座席を確保しました。

窓の外には、

もうすぐ海が見えてくるはずです。


3,000円を払って、

遠回りをして、

この駅にやってきて本当によかった。


おじいちゃんの

「よく頑張ったなー」

という声に、

自分たちの旅まで肯定してもらったような気がしました。

その温かい気持ちのまま、

列車は静かに走り出します。

【まとめ】“正解じゃないルート”が、いちばん良かった理由

今回のルートを選んだ自分を、全力で褒めてあげたいポイントを整理してみました。

このルートを選んでよかった3つの理由

✅移動を「アトラクション」に変えた:

ただの移動時間を、最前列からの雪山観光という濃密な体験に変えたこと。


✅「人」と「場所」に出会う時間を生んだ:

八戸経由でバタバタと乗り継いでいたら、

久慈駅でおじいちゃんと会話を交わすことも、

街の空気感に浸るカフェ時間も持てませんでした。


✅ 三陸鉄道への「一番乗り」というご褒美:

余裕を持って久慈に到着したおかげで、

三陸鉄道の座席確保も一番乗り。

最高のポジションで海を迎える準備が整いました。


調べれば、もっと安くて効率的な行き方はあったのかもしれません。

でも、真っ白な白樺林を抜ける力強いバスの走りを見て、

穏やかなカフェ時間で心を整え、

久慈の駅で病院帰りだというおじいちゃんと笑い合う。


白樺号を選んでいなかったら、

この出会いはきっとなかったはずです。



そして、ここからは海へ。

左側の窓に広がった景色は、想像以上でした。

👉️三陸鉄道リアス線の旅はこちら


今回のルートを含めた三陸1泊2日の全体は、こちらにまとめています👇

👉️【三陸1泊2日モデルコース|三陸鉄道・浄土ヶ浜・宮古グルメ】

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