きゅんパスを使った、秋田日帰り旅。
前編では、親子丼と金萬、
雪国のバスの空気まで味わいました。
後編は、いよいよ秋田温泉プラザへ。

ぬるすべのお湯に癒され、
美術館で心を整え、
そして思いがけない小さな出会いも。
温泉と美術館だけなのに、
なぜか120%満たされた理由を、
ゆっくり綴ります。
いざ、秋田温泉プラザへ|日帰り入浴700円のごほうび時間
中に入ると、
ふわっと、あたたかい空気に包まれました。

券売機で700円を支払い、
暖簾をくぐる。
「ああ、ちゃんと来られた。」
ひとりで秋田まで来て、

いま温泉の脱衣所に立っている。
気づけば、ちょっとニヤニヤしている私。
それだけで、
胸がじんわりとあたたかくなりました。
ぬるすべのお湯
洗い場は20個ほど。
地元の方らしき人たちが、静かに身体を洗っています。
私もまずは身体を洗って、
ほっとひと息。
いよいよ内湯へ。
42℃のあつ湯と、
37℃のぬる湯。
最初に入ったのは、あつ湯でした。
足先からじんわり温まっていく。
「熱い!」という刺激ではなく、
芯まで届くやわらかい温度。
あとで見た成分表によると、
源泉は39.0℃。
なるほど。
だから、きつくないのかな。
泉質は
ナトリウム‐塩化物・炭酸水素塩温泉。
いわゆる“ぬるすべ系”です。
ほんの少しぬめりがあって、
肌をやさしく包む感じ。
皮膚乾燥症や冷え性にもいいと書いてあって、
なんだか今の私にちょうどいい。
仕事の疲れも、
冷えきった気持ちも、
じんわり溶けていく。
あつ湯で温まり、
ぬる湯でほどける。
のぼせることもなく
本当にずっと入っていられました。
露天風呂と、雪の気配
外へ出ると、
ひんやりした空気。
檜の香り。
壺型の一人風呂に腰をおろすと、
空が広い。
雪は降っていないけれど、
空気はちゃんと冬。
遠くで、風の音。
ヒノキの露天風呂でじんわり温まりながら、
ふと、思いました。
フキハラやモラハラにもめげずに、
ちゃんと働いている私。
バイトもして、
家のこともして、
ブログも書いて。
誰も見ていないけど、
ちゃんとがんばってる。
だからこれは、
そんな私へのご褒美。
思わず、小さくつぶやいてしまいました。
「しあわせだ…」
湯気にまぎれて、
誰にも聞こえないくらいの声で。
湯上がりの一杯
脱衣所のドライヤーを終えて、
少し火照ったままロビーへ。
迷わず手に取ったのは、
瓶のコーヒー牛乳。

湯上がりに飲むと、
どうしてこんなに美味しいんでしょうね笑。
甘くて、ちょっと懐かしくて、
体の奥まで染みわたる。
さっきまでお湯に包まれていた身体に、
今度はやさしい甘さ。
これも、セットで温泉かも。
少しだけ、なにもしない時間
バスの時間まで、あと少し。
ラウンジのソファに腰を下ろす。

暖炉の火をぼんやり眺めながら、
ただ座っている。
スマホも見ない。
何も考えない。
ただ、
「ああ、来てよかったな」と思う。
外に出ると、
雪がまだ残っていて、
空はどんより。

でも、さっきまで温泉に包まれていたせいか、
私の気持ちは不思議と晴れやかでした。
秋田の人の暮らしに、少しだけ混ざる
温泉でほどけた身体のまま
バス停へ、歩き出します。
空気は冷たいけれど、
さっきまで湯に包まれていたから、
むしろ気持ちいい。
少し歩くと、コンビニ。
入口に貼られていたのは
「熊出没注意」の文字。

昨年の秋から冬にかけて
秋田では自衛隊が出動するほど
クマの被害が多かったことは知っていました。
だから唐突というよりは、
「ああ、やっぱりここなんだ」と
現実味を帯びる感じ。
その下には、
「熊が店内に入らないよう、出入口は必ず閉めてください」と。
日常の中に、熊。
バス停で待っているあいだも、
少しだけ、ドキドキしていました。

でもその横を、
ランドセルを背負った小学生が
何事もない顔で歩いていく。
特別な顔もせず、
当たり前みたいに。
怖さもあるけれど、
ここではそれも含めて日常なんだなと思いました。
非日常と日常が、
同じ道の上に並んでいる。
旅に来ると観光地ばかり見てしまうけれど、
本当は、
こういう暮らしの風景に触れる瞬間が
いちばん心に残るのかもしれません。
秋田犬との遭遇
そして、その先で——
お散歩している一匹の秋田犬。
思わず、
「あ、あ、あ!」
声にならない声が出る。
堂々とした後ろ姿。
ふわっとした尻尾。
雪国の空気に似合いすぎる存在感。
大きくて、かっこよくて
そして、かわいい!!
慌てて、咄嗟に
後ろ姿だけ写真を撮りました。

でも、あとから少し後悔。
声をかけて、
ちゃんと写真をお願いすればよかったな、と。
ほんの数秒のためらい。
旅先では、
一瞬の勇気が、
記憶の濃さを変える。
このときは、
ほんの少しだけ、勇気が足りませんでした。
でも。
このときの小さな後悔が、
このあとの美術館や、
きりたんぽ屋さんでの“声かけ”に
つながっていくことになります。
たぶん。
降り損ねた、けれど。
美術館へ向かうバス。
本当は
「千秋久保田町」で降りるつもりでした。
なのに。
気づいたら、終点の秋田駅西口。

え…?
あれ?
やらかした?
でも、地図を見ると、
歩ける距離。
ほっとして、
そのまま歩くことにしました。
これが、どうやら正解だったみたい。
風を感じながら、
街を見ながら、
秋田の空気を吸い込みながら、
ゆっくり歩く。

旅って、
計画通りに進むより、
少しズレたほうが
ちょうどいいのかもしれません。
秋田県立美術館へ
コンクリートの静かな外観。

無駄がなくて、
どこか凛としている。
中に入ると、
大きな吹き抜けと、
ゆるやかに曲がる階段。

天井の幾何学模様から、
やわらかな光が落ちてくる。
音が、
少し吸い込まれるような空間。
ひとり階段を登りながら少しワクワクしていました。
大壁画に、飲み込まれる
そして、あの空間。
大壁画。
正直、写真で見ていたときは
「大きいんだろうな」くらいにしか思っていなかった。
でも実際に目の前に立った瞬間——
言葉が、止まりました。
大きい、というより
“包まれる”感覚。
色と、人物と、物語が
ぐるりと視界を囲む。
視線をどこに置けばいいのか分からない。
一歩下がっても、
まだ全部は入らない。
ただ立っているだけなのに、
心拍数が少し上がる。
圧倒、って
こういうことなんだ。
静かな美術館なのに、
秋田の雪の静けさとは、全く違う迫力。
でも、どこか
この土地のスケールを感じる。
さっきまで温泉で
「しあわせ」なんて呟いていた私が、
今はただ、呑み込まれている。
旅って、
やさしいだけじゃないんですね。
抹茶と、水面
鑑賞のあと、
館内のカフェで和菓子と抹茶のセットを注文して
二人掛けのソファに座ります。

窓の外は、
まるでインフィニティプールみたい。
景色がそのまま溶け込んでいて、
何時間でも座っていられそうでした。
混みはじめて、
席を探している親子が目に入ります。
一瞬、迷う。
ここ、眺めいいしな。
でも。
「ここ、座りますか?」
立ち上がって、席を譲る。
ほんの数秒のこと。
秋田犬に声をかけられなかった私。
あのときは、ほんの少し勇気が足りなかった。
でも今は、ちゃんと一歩、動けた。
えらいぞ、今日の私。
旅って、
景色を見るだけじゃない。
ほんの少しだけ、
勇気を出せる場所なのかもしれませんね。
駅へ戻る途中で、ローソンへ
美術館を出て、
予約していたきりたんぽ屋さんへ向かうために、
駅方面へ歩きます。
お堀の水面は静かで、
さっきまで見ていた大壁画の余韻が、
まだ胸の奥に残っています。
夕方になり、少しだけ風が冷たく感じてきたそのとき。
ローソン発見。
そういえば——
今日発売。
SNSで見た、
東北限定のロールケーキ。
あるはず。
店内を一周。
……あった。
「ババヘラ風ロールケーキ」

見つけた瞬間、
ちょっとガッツポーズ。
なんとなく、2個購入。
旅先での“限定”には特に弱い私。
なんとなく買った、2個のロールケーキ。
まさか、あんなふうにつながるとは。
その話は、
別の記事で、もう少し丁寧に書こうと思っています。
▶︎ きりたんぽ屋で起きた、小さなドラマはこちら(※近日公開予定)
旅のお土産
「秋田きりたんぽ屋」を出たあとは、近くのスーパー『ナイス』へ。
テレビでも紹介されていた、
焼くと塩が吹き出すという極辛のしゃけと、
いぶりがっこを購入しました。

しょっぱいものばかりなのに、
なぜかそれが嬉しい。
地元のスーパーって、
やっぱり楽しいですよね。
そのあと、ナガハマコーヒーへ。
秋田では有名なコーヒー屋さんだそうです。

店内の雰囲気も素敵で
本当はゆっくり過ごしたかったのですが、
ラストオーダーは18:30。
カフェラテとコーヒー豆を買って、
新幹線の中で飲むことにしました。

家に帰ってから、さっそく淹れてみました。
このコーヒーが、本当においしくて。
いつもはミルクを入れて飲む私が、
これはブラックのまま、最後まで飲めました。
旅の余韻が、もう一度ふわっと戻ってきたようでした。
その後は、お土産の最終確認。
買ったのは、自分用にほんの少しだけ。
出発まではまだ余裕がありましたが、
売り場にいたら無限に買ってしまいそうだったので、
早めにホームへ向かいました。
こまちとはやぶさ
ホームには、もうこまちが停まっていました。
車内はまだ空いていて、
ほとんど貸切のようです。

静かな時間。
このあと、後ろ向きに出発し、
来たときと同様、大曲からは進行方向が変わります。
盛岡では、青森方面から来たはやぶさと連結。
その瞬間、
なんだか、こまちとはやぶさが
お互いの冒険の話をしているように感じました。
今日あったこと、
走ってきた景色、
それぞれの物語。
そんな想像をしている自分に気づいて、
ああ、わたし、
ちゃんと癒されたんだな。
そう思いました。
旅の終わりと、いつもの散歩
家に帰ったその夜も、
ジャックの散歩へ。
暗い道を歩きながら、
さっきまで乗っていたこまちや、
秋田の冷たい空気を思い出していました。
でも足元にいるのは、
いつものジャック。
旅は終わったはずなのに、
心の中は少しやわらかいまま。
秋田の空気を、
まだ少し持ち帰っていたみたいです。
今回の旅行では、コンセント一体型のモバイルバッテリーを持ってきました。
バッテリー自体をそのままコンセントに挿して充電できるので、荷物が少なくて助かりました。
→ 私が使っているモバイルバッテリーはこちら
※今回の秋田日帰り旅で実際にかかった費用は、別の記事にまとめる予定です。
▶︎ 前編はこちら

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[…] ※秋田一人旅の様子は別記事で詳しくまとめています。 […]