今回のきゅんパス旅で、秋田で唯一予約していたのが、『秋田きりたんぽ屋』さんでした。
いかにも観光客向け、という雰囲気で、
「体験型」とも言えるような、少しエンタメ感のあるお店です。
正直、少し構えて入ったのですが——

その夜は、思いがけず、心に残る時間になりました。
予約で満席だった店内
このお店は、きゅんパスを予約した1ヶ月前に、
一緒に予約していました。
当日行ってみると、
どうやら予約のお客様で満席。
予約なしで来たお客さんは、
残念そうに帰っていく姿も見かけました。
ああ、予約しておいてよかった。
私はひとりだったので、
カウンター席へ案内されました。

勇気を出して声をかけた
隣も、同じくひとりの50代くらいの男性。
入店は17時。
帰りの新幹線の時間が18時台のようで、
少し急いでいる様子でした。
その会話が耳に入ってきて、
思わず、声をかけました。
「きゅんパスですか?」と
少しだけ勇気を出して。
すると、
「はい。」と笑顔。
その方は東京から朝来て、
レンタカーで男鹿半島を回り、
そのあとこのお店に来たそうです。
私は、
「私もきゅんパスで来ました。」
と、ほんの少しだけお話ししました。
たったそれだけ。
でも、
旅先での会話は、なんだか特別です。
ハタハタのからあげ
そのあと、
その方が注文していたハタハタの唐揚げが運ばれてきました。
「よかったら一つどうぞ」
そう言って差し出してくれました。

え、うれしい。
思わず顔がゆるみます。
骨まで食べられて、
いい塩梅。
本当に美味しかった。
少し勇気を出して声をかけたことが、
こんなふうに返ってきたことも、嬉しかった。
ひとり旅なのに、
孤独じゃなかった瞬間でした。
なんとなく2個買ったロールケーキ
ハタハタのお礼に、
何かできないかな、と考えていたとき。
ふと、バッグの中を思い出しました。
なんとなく2個買っていた、
東北限定のロールケーキ。

「あれ、渡そう。」
帰り支度を始めたその方に、
『よかったら』と差し出しました。
もちろん最初は、
『いえいえ、そんな』と遠慮されました。
でも、
最後は受け取ってくれました。
ほんの数分の出来事。
名前も知らない、
もうきっと会うことのない人。
それでも、
あの夜のきりたんぽ屋さんには、
やさしい空気が流れていました。
観光客向けでも、楽しかった理由
お店ではテーブルまで来てくれて、
秋田弁でのきりたんぽ鍋の具材の紹介や紙芝居もあり、

秋田弁。ちょっと何言ってるのかわからない笑。
(そのあとちゃんと解説してくれました。)
口コミでは
「お通し1,000円は高い」という声もありましたが、
がっこ(漬物)や松前漬け、
なめ茸の梅和えなどが並び、

私は1,000円は「全然あり」だと思いました。
体験にお金を払っている感覚、
というほうが近いかもしれません。
そして、きりたんぽ。
想像以上に大きくて、量も多い……。
どうやら一般的なきりたんぽの
3倍ほどのサイズらしいです。
そんなことも知らず、
みそたんぽも食べたくなって追加注文。

……かなり苦しかったです(笑)
でも、それも含めて楽しかった。
ひとり旅は、自由。
でも、完全にひとりじゃない。
少し勇気を出すと、
こんなふうに、あたたかい時間が生まれる。
なんとなく買った2個のロールケーキ。
あれが、
こんなふうにつながるなんて。
そのときの私は、
考えてもいませんでした。
秋田犬に声をかけられなかった私。
後ろ姿を写真に撮って、
「お願いすればよかったな」と
少しだけ後悔したあの瞬間。
その気持ちが、
きりたんぽ屋さんでの
「きゅんパスですか?」につながったのかもしれません。
ほんの一言。
でもその一言で、
ハタハタが回ってきて、
ロールケーキが旅立っていきました。

ひとり旅は、自由。
そして、少しだけ勇気を出すと、
思いがけない時間が生まれる。
勇気を出した私のことを、
今日は、少し好きになれました。
\この夜は、秋田ひとり旅の一部でした。/
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